イケメン兄の甘い毒にやられてます
『…今夜、夕陽の家にいくから』

圭吾の言葉は、実行されることはなかった。

待てど暮らせど、圭吾が夕陽の部屋に来ることはなく、

机に突っ伏したまま、夕陽は朝を迎えた。

「…圭吾さん、」

部屋の中、夕陽は独りぼっち。

昨日のことも気になって、来てくれなかったことにも不安になって、夕陽は今にも泣き出しそうだった。

…今夜は夜勤で、圭吾とまたすれ違いになるだろう。

…ぐすっと、鼻を啜ったときだった。

インターホンの音に、からだがビクッと反応した。

只今の時間、午前5時過ぎ。

恐る恐る立ち上がると、夕陽は、除き穴から、外を伺った。

…顔が見えず、出ることを躊躇う。

「…夕陽、寝てる?」

その声に、夕陽は驚きつつも、ドアの鍵を開けて、勢いよくドアを開けた。

ゴンッ!

と、ドアに相手がぶつかってしまって、顔を歪めていた。

それでも夕陽はその人に飛び付いた。
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