イケメン兄の甘い毒にやられてます
勢いよく飛び付いたので、そのまましりもちをついてしまった。

「…っ」
「…圭吾さん、圭吾さん、」

こんなにも不安なんだと、夕陽を見て直ぐにわかった圭吾は、夕陽を抱き上げると、とりあえず中にはいる。

抱っこしたまま、圭吾はソファーに座って、夕陽を抱き締める。

「…夕陽」
「…私を嫌いにならないで。私はずっとずっと、圭吾さんだけが好きです。私には圭吾さんだけなのに」

ポロポロと涙を流しながら訴える夕陽に、圭吾は胸がキュンとする。

それと同時に、自分のせいで夕陽を不安にさせたことに、申し訳なさで一杯になった。

「…夕陽、不安にさせてごめん、本当にごめん。俺も、夕陽が好きだよ。俺にだって、夕陽だけだよ」

そう言って、頭に、目に、頬に、キスをしていく。

夕陽はぐずぐずと鼻をすする。

「…昨日はワケわからなかったよな?…夕陽があんまり綺麗になりすぎて、誰かにとられるんじゃないかって、不安になっただけなんだ」

「…そんなこと、あるわけ」

「…うん、わかってる。わかってるんだけど…独占欲が強すぎて…ゴメン、」

…独占欲。

悪い響きではない。

「…夕陽、一緒に暮らそう。もう離ればなれは嫌だ。引っ越しなんて何時でもいい。身一つでうちにおいで」

「…うん、私も圭吾さんと一緒にいたい。ずっと傍に」

二人はようやく同棲を始めることになった。
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