イケメン兄の甘い毒にやられてます
身支度をし、朝食を二人で食べると、夕陽は学校に行くため玄関に向かう。

そんな夕陽の後ろを、圭吾がついてくる。

夕陽は気にしないようにしていたが、靴を履いて振り返ると、やっぱりそこに、圭吾がいて、夕陽は眉間にシワをよせた。

「…気をつけて、いってらっしゃい」
「…行ってきます」

「…今夜は夕陽一人になるから、戸締まりと火の元には気を付けろよ」
「…言われなくても」

心配してくれるのは嬉しいのに、つい、憎まれ口をたたく夕陽。

「…何かあったら、メールでも電話でもいいからしてこい」
「…しませんよ。そんなこと」

相変わらずの憎まれ口にも、圭吾は笑顔を絶やさない。

「…怖くなったら」
「…私は強いですから」

「…うん、強がりだって分かってるけど」
「…」

「…寂しくなってら」
「…もう!いい加減に?!」

怒ろうとしたのに、それはできなくなった。

圭吾が夕陽を抱き寄せたのだ。

「…圭吾さん、」
「…俺が寂しい」

「…何を言ってるんですが、大の大人が。それより私、遅刻します」

「…よし、充電完了」

やっと離してくれて、夕陽は圭吾から離れた。

そして、逃げるように家を飛び出した。
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