イケメン兄の甘い毒にやられてます

ヤキモチは、好きだからこそ

…教室に戻った夕陽と春人。

…案の定、待ちくたびれた咲にグチグチ怒られ、顔を見合わせた二人は、笑いだし、咲はそんな二人を見て、首をかしげた。

…そして迎えた放課後。3人で生徒玄関を出た。

「…今日はどこ行く?」
「…咲、今日は、俺と二人で今度こそ、クレープ屋に行こう」

春人の言葉に、咲は驚く。

「…何言ってんの?今日は、夕陽も一緒に行くんだよね?今日は、帰れるって言ったじゃん」

「…咲、ゴメン、ちょっと急用が出来て」

「…えーーー?!なんで?なんで?楽しみにしてたのに」

咲は本当に寂しそうに言う。夕陽もやっぱり行くのはよして、咲と行こうかと思った。

「…ダメ!夕陽は大事な用事があるんだよ」
「…ムッ!春人は知ってるのに、私だけ知らないの?なんで?!夕陽は私の大事な親友よ!なんで、私だけ除け者なのよ!」

…最もな話だと思った。

「…咲!」

怒り出しそうになった春人を夕陽は必死で止めた。

「…春人、いいの。怒らないで。咲、そうだよね。親友だって、私も思ってる。話し出すタイミングが無くて…あのね、私、これこら圭吾さんに会うの」

「…お義兄さん?帰ったら会えんじゃん」

「…圭吾さんと静さんて人と、3人で会うの…私ね、圭吾さんのこと、好きみたいで」

「…ぇ、え、えぇぇぇぇっ?!そうなの?ってか、春人は?」

「…フラれた。今は、俺のことはいいんだよ」

「…ちょ、ちょ、話が進みすぎて、頭がついていかないんだけど」

「…詳しいことはあとで話すから、…ほら、門のとこ、いるよ、夕陽。早く行け」

「…ゴメンね、また明日!」

夕陽は、そう言って、圭吾の元へ走っていってしまった。

「…詳しーく、聞かせてね、春人」
「…はいはい、ほら、行くぞ」

春人は、咲の背中を押して、クレープ屋に向かった。
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