イケメン兄の甘い毒にやられてます
…圭吾は、いつまでも来ない夕陽が気になって、パソコンを閉じると、部屋を出て、リビングに向かった。

「…夕陽?」

そこには、夕陽の姿はなく、洗面所へ。

そこにもいなくて、部屋に行ってみた。

ドアをノックするも、応答はなく、静かに、ドアを開けた。

「…夕陽?」

部屋にも夕陽がいない。

その時だった。圭吾の携帯が鳴る。

…それを見た圭吾は目を見開いた。

『圭吾さんとは、出掛けません』

夕陽からのメールだった。

圭吾は驚きつつ、夕陽の携帯を鳴らす。

『…もしもし』
『…夕陽!今どこにいる?」

『…いいません』
「…夕陽、一緒に出掛ける約束したろ?なんで、一人で勝手に」

『…どっちが勝手ですか?』
「…え?」

しばらくの沈黙の後、夕陽が言う。

『…最近ずっとよそよそしくて、それなのに、突然一緒に出掛けるなんて言い出して』

「…淋しかった?」

『…』

「…夕陽、ごめんな。今日どうしても時間が欲しかったから」

『…どうしてですか?』

「…」

その理由は答えようとしない圭吾。

『…私を探しだしてくれたら、一緒に出掛けてあげます』
「…夕陽?!」

『……ヒントは、○○水族館のどこかです』

それで、携帯は切れてしまった。


圭吾は急いでそこへ向かった。

…夕陽の声が、涙声だった。

今日は、夕陽をとびきりの笑顔にさせたかったのに。



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