イケメン兄の甘い毒にやられてます
車に夕陽を乗せた途端、圭吾は夕陽をキツくキツく抱き締めて、大きなため息をついた。

「…ぁの、圭吾、さん?」
「…知らない男についていっちゃダメだろ?」

…少し怒った圭吾の顔。

夕陽はなんとも言えない顔で圭吾を見る。

「…圭吾さんの事、知ってるって言うし、名前も言ってくれたし、何より、同じ病院で働いてるって言ったから、信用してもいいかなっ「…ダメ!」

大きな声で言われ、夕陽は肩をすぼめた。

「…確かに相良は同じ病院で働く医者だけど、あの男だけは信用したらダメ、絶対」

「…な、なんで、そんなに怒って?」
「…相良が俺の天敵だから」

「…」
「…それに、夕陽と相良が恋人同士みたいに仲良かったって、静が言ってたから」

「…ぇっと、それって…」

ただのヤキモチじゃ?

途中まで言って、それ以上は心の中で呟いた夕陽。

「…圭吾さん、天敵ってどういう?」
「…夕陽は知らない方がいい。大人の事情だから」

…大人の事情???

仕事がらみだろうか?

それとも他に?

「…圭吾さ」
「…そんな事より、やっとデートできるな」

ハッ?!、忘れてた。

夕陽が目を見開くのを見て、圭吾はクスッと笑った。

「…どこ行きたい?」
「…どこでも…圭吾さんと一緒なら、どこでも楽しそう」

夕陽がそう言って照れ笑いすると、圭吾はキュンとして、無意識に夕陽の頬に触れると、優しく口づけた。
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