イケメン兄の甘い毒にやられてます
…次の日の朝、目覚まし時計を止めた夕陽は、まだ、熟睡中の圭吾の寝顔を見て、思わず顔がほころんだ。

自分より一回り近く違う、大人な圭吾。

それでもその寝顔は、とても無防備で、そんな顔を見ることができるのが自分だけだと思うと、嬉しくなった。

そして夕陽は、圭吾の唇に、初めて自分からそっとキスをした。

「…もう一回」
「…へ?!」

寝ているものだと思っていた夕陽は、まだ目を瞑ったままの圭吾を驚きの眼差しで見つめている。

圭吾は片眼をあけて、夕陽を見た。

「…お、起きてたんですか?」
「…目覚まし時計が鳴ったからね」

その言葉に、ボッと、顔が赤くなる夕陽。

そんな夕陽を抱き寄せて、圭吾は夕陽に、スリスリと頬をすりよせた。

「…ひ、髭が痛いです!」
「…んー、仕方ないよね。我慢して」

「…もぅ!圭吾さん!」
「…だって、夕陽からキスしてくれるなんて、初めてだから、嬉しくて、嬉しくて…」

「…もぅ!」
「…夕陽はどうしてそんなに可愛いの?」

甘い言葉ばかり言う圭吾に、夕陽はたじたじ。

「…夕陽、好き!」
「…」

「…夕陽、大好き」
「…///」

「…夕陽、愛してる」
「…私も…好きですよ」

しりすぼみになりながらも、夕陽がそう言うと、圭吾はまた、スリスリした。

「…もぅ!いたーい!」

…流石の叫び声に圭吾はシュンとした。
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