イケメン兄の甘い毒にやられてます
痛い髭から解放されると、ホッとしたが、なんだか頬がヒリヒリするのは、気のせいだろうか?

夕陽は自分の頬をさすりながら、顔を洗いにいく。

洗い終わると、入念に化粧水と乳液をつけた。

「…圭吾さん、今日は、お仕事ですよね?」
「…あぁ、うん。今日は遅くなりそうだから、俺の夕飯はしなくていいよ。夕陽は、先にご飯食べて、寝るんだよ」

「…はい」

…今夜は一人寝か。

夕飯は少し寂しそうな顔をした。

その顔を、圭吾は見逃すはずもなく、夕陽を抱き寄せると、背中をポンポンと優しく叩いた。

「…夕陽が嫌じゃなければ、帰ってきたら、夕陽のベッドに潜り込んでも?」

圭吾の言葉に、目を見開くも、頬を染め、小さく頷いた夕陽を圭吾はぎゅーっと、抱きしめて、また、スリスリ。

「…夕陽?」
「…痛くない」

「…アハハ、髭剃ったからね」

笑いながら言う圭吾に、夕陽は納得。

「…髭は、剃ってた方がいいですね…剃ってない時は、スリスリ禁止です」

「…えぇー?!それは無理。したいときにする」
「…駄々っ子ですか?」

夕陽の言葉に。

「…そうだよ、夕陽の前では、駄々っ子にもなる」

なんて、言って、おどけて見せた圭吾に、夕陽は笑ってしまった。


…今日は、圭吾が先に出勤。

遅れて夕陽が登校した。

…その日の夜。圭吾の言いつけ通り、夕陽は先に就寝しようと、ベッドに潜り込む。

そのベッドは、圭吾のベッド。

二人で寝るなら、圭吾のベッドの方が、広い。

しかも、圭吾の匂いに包まれるため、安心する。

…うとうとし始めた頃。

突然のインターホン。

もう、夜11時を回っている。

…圭吾が、自宅の鍵を忘れたのだろうか?

夕陽は何の迷いもなく、自宅のドアの鍵を開けた。


「…お帰りなさい、鍵忘れたんです、か?て」
「…夕陽ちゃん!圭吾が大変なんだ!」


…目の前に現れたのは、




「…相良さん?、圭吾さんが?!えっ?!!どうしたんですか?」

「…いいから、ついてきて!」


パジャマのまま、夕陽は自宅から連れ出された。
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