イケメン兄の甘い毒にやられてます

本気で好きだと言われたら?

…心の中はスッキリしないまま、仕事を終えた圭吾は、夕陽を病室に迎えにいく。

点滴をし、少し眠れた夕陽は、少し楽になったように見えた。

圭吾は夕陽を連れ、車にのりこむと、自宅へと車を走らせる。

「…圭吾さん」
「…ん?」

「…圭吾さんも、具合、悪いんですか?」
「…え?」

夕陽の言葉に驚いて、圭吾は夕陽をチラッと見た。

「…何だか、暗い顔だから」
「…そう?そんな事ないよ。俺は、いたって元気。夕陽、帰ったら、着替えて直ぐにベッドに入るんだよ?」

「…はい」

…顔に、出してるつもりはなかったのに、夕陽に言われてハッとした。

圭吾は話を逸らして、事なきをえた。

が、具合の悪い夕陽に心配をかけないようにしようと思わずにいられなかった。

…。

自宅に戻ると、パジャマに着替えた夕陽は、圭吾に言われた通り、直ぐにベッドに入る。

間もなくして、圭吾が夕陽の様子を見に来た。

手には、氷水の入った洗面器とタオル。

夕陽の熱は、まだまだ、高い。

「…圭吾さん、ありがとう…色々ごめんなさい」

圭吾はそれに首をふり、夕陽の頭を撫でた。

「…病人は甘えてればいいの。謝る必要はないよ。夕飯が出来たら持ってくるから、それまで眠るんだよ」

圭吾の言葉に、夕飯が少し寂しそうな顔をした。

「…夕陽?」
「…少しだけ、ここにいてもらってもいいですか」

「…もちろん」

そう言うと、ベッドの傍らに座って、圭吾は夕陽の手を優しく握る。

夕陽は安心して、しばらくすると深い眠りについた。
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