イケメン兄の甘い毒にやられてます
…次の日の朝、先に起きた圭吾は、自分の腕の中で眠る夕陽のおでこをそっと触る。

「…まだ、熱下がらないな」

小さな声で呟くと、夕陽が静かに目を開けた。

「…おはようございます」
「…おはよう。…まだ、熱下がってないみたいだよ」

「…そうですか」
「…学校には連絡しておくから、今日は休むんだよ」

圭吾の言葉に、頷く。

「…朝食食べられそう?」
「…少しなら」

「…こんな時に、夜勤何だ。昼間は一緒にいてあげられるんだけど」

そう言って、圭吾は困ったような顔をする。

「…大丈夫ですよ。昨日よりはましですから。その代わり」
「…ん?」

「…ここで寝てもいいですか?」
「…もちろん。ここでいいなら、ゆっくり寝て」

圭吾の言葉に、夕陽はくしゃっと顔をほころばせた。

可愛いなと思いながら、圭吾は夕陽の髪を優しく撫でる。

このまましばらくこうしていたかったが、夕陽のご飯の準備をし、薬を飲まさなければと、起き上がる。

…食事を済ませると、夕陽は再び圭吾の部屋のベッドに潜り込んだ。

夕陽が寝ている間、圭吾は部屋のデスクで、学会用の論文を書いていた。

内科医としての圭吾は本当に優秀だ。

父親と同じ外科医になっても良かったのだが、あえて、内科医を選んだのは、圭吾の考えだ。

…気がつけば、昼の一時を過ぎている。

夕陽はまだしんどいようで、寝たり起きたりを繰り返していた。

夕陽の傍にいてやれないのは心苦しかったが、時間になってしまい、夕陽を自宅に残し、仕事に向かった。
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