イケメン兄の甘い毒にやられてます
目が覚めた夕陽は、辺りがすっかり暗くなっていることに少し驚きつつ、起き上がると、キッチンに入っていく。

お茶を淹れて飲むと、テーブルの上に置き手紙を発見。

夕飯の準備までしていってくれた圭吾に感謝しつつ、それを食べるも、熱は一向に下がる気配はなく、少ししか、食べられなかった。

薬だけはしっかりと飲み、何とかお皿を洗うと、部屋へと逆戻り。

その時だった。

インターホンが鳴り、少しふらつく体をおして、それに出た。

「…はぃ…ぁ」
「…具合は?…良くなさそうだね」

圭吾が夜勤だと知っている明が、夕陽の様子を見に来たのだ。

夕陽の顔は真っ赤。息遣いも荒い。

具合が悪いのは一目瞭然。

「…ごめんなさい、圭吾さんは仕事に出てます。用がないなら、失礼します」

そう言うと、そそくさとドアを閉めた夕陽だったが、ふらついて、ガシャンと傘立ての方に倒れこむ。

驚いた明が、勢いよくドアを開けた。

「…夕陽ちゃん!夕陽?!」
「…」

夕陽は目を開けることはなく、明は夕陽を抱き上げると、適当にドアを開ける。そこは、圭吾の寝室だった。

とりあえずベッドに寝かせ、自分の鞄の中から、聴診器やら診察用の道具を取り出し、夕陽を見ていく。

ベッド横にあった体温計で熱を測ると、40℃近い熱。

明は迅速に、入ったことのないキッチンに入るなり、体を冷やすものの準備をし、夕陽の元へ。

…一晩中、明は夕陽の看病をし続けた。

…朝になり、大分熱の下がった夕陽が目を覚ました。

誰かが夕陽の手を握りしめている。

大きな手。

「…圭吾さん?」


夕陽の声と同時に、部屋のドアが開いた。

「…夕陽…さ、がら?」

部屋に入ってきたのは、夜勤明けの圭吾だった。

…夕陽の手を握りしめてるのは
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