イケメン兄の甘い毒にやられてます
藍は泣きそうになった。
この熱い想いは、どうやっても自分に向けられることはない。
圭吾の目に映るのは、夕陽しかいないと、思い知らされるだけだった。
「…馬鹿馬鹿しい」
そう捨て台詞を吐いて、藍はその場を去ろうとする。
が、圭吾ももう、引き下がるつもりはなかった。
藍の肩を、痛いくらいに掴んだ。
当然、藍は顔を歪める。
「…夕陽を、返してください」
「…ここで、土下座してお願いしたら、返さないでもないわ」
最低な女だ。自分でもわかっていた。こんなことをすれば、尚更嫌われるだけなのに。
「…わかりました」
そんな藍の言葉をまともに受けた圭吾は、その場に正座しようとした。
「…やめて!!」
「…」
好きな男のこんな情けない姿、見たくなんてない。
「…もぅいい…勝手に連れていきなさいよ、内科の教授室にいるわ」
「…藍さん」
「…さっさと行けば?」
藍の言葉に、圭吾は頭を下げると、内科の教授室に向かって走り出した。
藍は、その場にしゃがみこんで、声を殺して泣いた。
恋い焦がれた圭吾と何がなんでも結ばれたかった。汚いと言われても、嫌われても、傍に居たかった。
だが、健気な夕陽や、夕陽を想う圭吾の姿に、どうやっても手に入らないとわかってしまった。
「…藍」
「…おにい、ちや」
藍を見つけたのは、明だった。
「…俺の忠告を受けないからこんな苦しい悲しい思いをするんだ」
「…うるさい」
明は藍の頭をガシガシと荒っぽく撫でた。
「…何すんのよ!」
「…今夜は、出来の悪い妹に付き合ってやるからな」
「…ぅん、」
また泣き出した藍の頭を、何度も何度も明は撫でてやった。
この熱い想いは、どうやっても自分に向けられることはない。
圭吾の目に映るのは、夕陽しかいないと、思い知らされるだけだった。
「…馬鹿馬鹿しい」
そう捨て台詞を吐いて、藍はその場を去ろうとする。
が、圭吾ももう、引き下がるつもりはなかった。
藍の肩を、痛いくらいに掴んだ。
当然、藍は顔を歪める。
「…夕陽を、返してください」
「…ここで、土下座してお願いしたら、返さないでもないわ」
最低な女だ。自分でもわかっていた。こんなことをすれば、尚更嫌われるだけなのに。
「…わかりました」
そんな藍の言葉をまともに受けた圭吾は、その場に正座しようとした。
「…やめて!!」
「…」
好きな男のこんな情けない姿、見たくなんてない。
「…もぅいい…勝手に連れていきなさいよ、内科の教授室にいるわ」
「…藍さん」
「…さっさと行けば?」
藍の言葉に、圭吾は頭を下げると、内科の教授室に向かって走り出した。
藍は、その場にしゃがみこんで、声を殺して泣いた。
恋い焦がれた圭吾と何がなんでも結ばれたかった。汚いと言われても、嫌われても、傍に居たかった。
だが、健気な夕陽や、夕陽を想う圭吾の姿に、どうやっても手に入らないとわかってしまった。
「…藍」
「…おにい、ちや」
藍を見つけたのは、明だった。
「…俺の忠告を受けないからこんな苦しい悲しい思いをするんだ」
「…うるさい」
明は藍の頭をガシガシと荒っぽく撫でた。
「…何すんのよ!」
「…今夜は、出来の悪い妹に付き合ってやるからな」
「…ぅん、」
また泣き出した藍の頭を、何度も何度も明は撫でてやった。