イケメン兄の甘い毒にやられてます

妹が大好きなのは常に兄

甘々な週末を楽しみにしていた夕陽だったが、そうはいかなかった。

日曜日の夕方から、圭吾は夜勤のため早めの出勤を余儀なくされた。

顔には出さないように、落ち込んでるのがバレないように、夕陽は終始笑顔でいた筈だった。

でも。

夕陽が無理して笑っていることくらい圭吾には、分かりきっていた。

「…夕陽、仕事に行く前に、寮まで送るよ」
「…ぇ、でも」

「…仕事には間に合うから。ほら、行くよ」
「…えっと、じゃあ、お願いします」

1人で帰るつもりでいた夕陽を、強引に車に乗せた圭吾は、…何故だか、寮とは反対方向に車を進めた。

「…圭吾さん、あの、何処へ?」
「…まぁ、いいから」

行き先は告げないまま、車は目的地に着いた。
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