black×cherry ☆番外編追加しました
(・・・そうなのかな)


自分では、そういう自覚はないのだけれど。

もしかしたら、そういうこともあるかもしれない。

「ラーメン屋で感動するのも。いつも高い店で食ってるからだろ」

「それは・・・本当においしかったので・・・」

ラーメンも餃子も、本当に美味しかったから。

それに、いつも高いお店で食べているわけではないんだけどな・・・。

「・・・まあ、あそこはほんとに美味いけどな」

「はい・・・。また行きたいです」

何気なく気持ちを言うと、黒崎さんはしばらく考え、「ああ」と思いついたような顔をした。

「それなら、婚約者と一緒にくれば」

「えっ・・・」

「本部長がダメなら、婚約者と来ればいいだろ」

「・・・」

その言葉に、私はなぜか沈んでしまった。

どうしてなのかはわからないけど。

「・・・いいです」

「は?なんでだよ。来たいって言ったくせに」

「そうですけど・・・」

早川先生と、二人でラーメンを食べる場面がうまく想像できなかった。

どちらかと言うと、早川先生はそれこそフレンチレストランとか高級和食店とか、そういうお店が似合うと思った。
 

(それに・・・婚約者として一緒に食事をすること自体、そもそも抵抗あるというか・・・)


「このまま、本当に婚約するのかな・・・」

どうしても、そんな気持ちになれなくて。

思わずポツリと呟くと、黒崎さんは一瞬だけ助手席の私に目を向けた。
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