black×cherry ☆番外編追加しました
(あっ・・・!)


黒崎さんだった。

驚く私とは裏腹に、黒崎さんは無表情で私のことを見つめると、すぐにすっと視線をそらした。

「ここ邪魔だろ。話すならそっち行け」

「あ、は、はい!」

黒崎さんに注意され、私と岡本さんは素早く数歩横に移動した。

岡本さんは、背筋をシャン、と整えてから、先ほどの疑問に答えてくれた。

「あ、えっとね、仕事っていうのは、今朝、桜葉女子から不審者情報が寄せられたからなんだ」

「不審者・・・」

穏やかでない話だった。

私はドキリとしてしまう。

「うん。9時頃だったかな。校門の近くをうろうろしてる男がいるって。警備員が出て行ったら走って逃げたみたいなんだけど・・・。近所を聞き込みしてたら、違う日も、そんな男がいたって聞いて」

「そうなんですか・・・」


(怖いな・・・)


時折、そんな話を聞くこともある。

最近はあまりなかった気がしたけれど・・・。

「ここの子は車送迎の子が多いし、学院全体の警備員数も多いけど・・・千穂ちゃんみたいに電車通学の子もいるからね。

夏休みで警備が緩くなってる可能性もあるし、大学側にもしっかり警戒してもらわないと。あ、咲良ちゃんも気を付けるんだよ」

「はい・・・」


(そっか・・・。注意しなきゃいけないな・・・)


思いながら、不安な気持ちになっていると、岡本さんはその空気を変えるように私ににこっと笑いかけた。

「咲良ちゃんは、今日はサークル?」

「あ、はい。でも、ちょっと調子が悪くて。早退するんです」
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