black×cherry ☆番外編追加しました
「えっ!?そうなの?大丈夫!?」

「はい。自分では大丈夫だと思うんですけど・・・。先生に、帰った方がいいって言われて」

「そっか・・・。もうすぐ本番だもんね。うん、無理しない方がいいよ。あ、今回も、千穂ちゃんと聞きに行くからね」

「はい。ありがとうございます」

私は笑顔で頷いた。

するとそこで、低い声。

「今から迎えがくるのか」

黒崎さんの声だった。

急に話しかけられて、私はドキリとしてしまう。

「は、はい」

「ならいいけど。出歩くときは気をつけろ」

「あ、は、はいっ・・・!」

きっと、ただの仕事の一環だと思う。

けれど、黒崎さんに心配してもらえたことが、私はとても嬉しかった。

「あの、黒崎さん!」

「・・・なに?」

「先日は・・・急に帰ってしまって、申し訳ありませんでした・・・」

しどろもどろ、でも、言いたかったことをなんとか伝えた。

黒崎さんは、一度目を細めた後に、「ああ」と言って返事した。

「別に。気にしてない」


(気にしてない・・・)


淡々としたその口調に、少し寂しさを感じてしまった。

怒ってないのはよかったけれど、どうでもいい、という感じもしたから。
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