black×cherry ☆番外編追加しました
「えーと、あのー・・・お二人は、プライベートで、なにか」

そこで、岡本さんが戸惑いがちに会話に入った。

芸能人のような質問に、黒崎さんがすぐに答える。

「なにも。この前偶然会っただけ」

「・・・」


(なんか、冷たい・・・)


確かに、約束をしたわけじゃなく、釣り場には、私が勝手に行ったんだけど・・・。

「・・・もういいだろ。行くぞ」

岡本さんに声をかけ、黒崎さんはそのまま立ち去ろうとした。

私はそれが切なくて、思わず声を出していた。

「ま、待ってください・・・!」

咄嗟に、黒崎さんのスーツの袖もつかんでしまった。

はっとなって、一瞬ですぐに離したけれど。

「なんなんだ・・・。こっちは仕事中だ」

「・・・すみません・・・」

怒られて気持ちがしぼむ。

けれど私は、このままは嫌で、そして多分、今しかチャンスがないと思った。

「あの・・・、もし、よかったら・・・土曜日、コンサートに来てください・・・」

「・・・は?」

咄嗟に思いついたこと。

突然の申し出に、黒崎さんは固まっていた。

そして横にいる岡本さんは、「え?」の口で固まっている。


(どうしよう・・・咄嗟に誘ってしまった・・・)


けれどもう、後には引けない。

そして、もし、来てくれたら本当に嬉しい。

「これ・・・」

一枚でも、カバンにしまっておいてよかった。

おもむろに、カバンの中からコンサートチケットを取り出すと、黒崎さんに差しだした。
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