black×cherry ☆番外編追加しました
それから、食事会に行かないですむ方法を二人でいろいろ考えた。

コンサート当日だし、終わってすぐの仮病とか、できる自信はないしさすがにそれは申し訳ない。

けれどそれ以外、行かない口実を考えることもできなくて、私たちの作戦会議は一旦中止することにした。

「・・・ところでさ。黒崎さんは、咲良のことどう思っているのかな」

深刻な話を一度終えると、千穂ちゃんは、どこかウキウキとしながら話題を変えた。

こういう普通の恋バナは、千穂ちゃんは好きみたい。

「告白した時は、なにも返事はなかったんだよね?」

「うん・・・。私も突然言っちゃって、岡本さんも一緒にいたし・・・そのまま流れてしまった感じ」

「うーん・・・そっか。大学の、事務室の前だもんね」

千穂ちゃんが苦笑する。

岡本さんが大きな声で驚いて、菅原さんに怒られたことを思い出す。

「うん・・・。その時もそんな感じだし、めんどくさいとか、唐突だとか・・・へんな風に思われてるかな。いつも迷惑ばかりかけてるし、いい印象はないかもしれない」

「うーん・・・そうなのかな。でも、かわいいとは思ってるんじゃないのかな」

「!?お、思ってないよ・・・!」

思わず力説してしまう。 

そんなことを思っていたら、さすがの黒崎さんでもあんな態度はしないと思う。

「咲良をかわいいって思わない男の人って多分いないよ」

「く、黒崎さんは、そんなこと思わない気がする・・・」

千穂ちゃんに褒めてもらえてとても嬉しい。

けれど、黒崎さんの態度を見れば、そんなことを思っている相手にする態度ではないと思った。

「こう、黒崎さんて、大人の女の人が好きな感じなの。年下でも、華英ちゃんたちみたいな大人っぽい子が好きそうな・・・。前の奥さんも、年上だって言ってたし」

「うーん・・・でも、好みのタイプとかわいいって思うのは、また違う気はするけどね」

そう言うと、千穂ちゃんは一呼吸おいて話を続けた。

「コンサートチケットは受け取ってくれたんだもんね。来てくれるといいね」

「うん・・・」
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