black×cherry ☆番外編追加しました
千穂ちゃんとの電話の後は、気持ちが上を向いていた。

おかげで、コンサート前日になった今日は、調子も良く、満足のいく演奏ができていた。



夕方。

コンサートの予行を一通り終えた後、三和先生が場を締めるように手をたたく。

「はーい!じゃあ、今日の練習はこれで終わりね。明日本番ですからね。高野さん、明日の進行、最終確認してください」

三和先生の声掛けに、彩華ちゃんが前に出て、コンサート本番の進行確認を行った。

いよいよ明日。

私を含め、今年の卒業生は四人いる。

他の三人は就職するし、私も内部進学だけど、サークルは卒業するのでこれで最後のコンサート。

緊張も不安も大きくあるけれど、いいコンサートにして、いい思い出にしたいと思う。

「咲良、今日もすぐに帰りなよ」

明日の確認を終えた彩華ちゃんが、私の元に来てそう言った。

前日だし、もう少し練習したい気持ちもあるけれど。

「彩華ちゃんは?」

「私は先生と話があるし。咲良は身体が弱いんだから。とにかく早く帰って寝てよ。コンミス命令だからね」

身体が細いというだけで、身体が弱いと思われている。

なんて・・・悠翔さんとのゴタゴタがあった時は、「体調不良」を理由に学校を長期的に休んでいたし、水曜日にも早退しているし・・・で、彩華ちゃんが心配するのももっともだった。

「うん・・・わかった。じゃあ、私はもう帰るね」

「うん、おつかれ。明日がんばろ」

「うん!」

彩華ちゃんと言葉を交わし、他のみんなにも挨拶をして私は部室を後にした。

時計を見ると16:30。

馬場さんには、17時半頃迎えに来るよう頼んでいるから、今日もまた、予定より早くなってしまった。
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