black×cherry ☆番外編追加しました
(どうしようかな・・・。『早く帰って寝て』って言われているし。すぐに帰った方がいいよね・・・)


馬場さんに電話をかけると、ちょうど近くまで来ているとのことだったので、そのまま迎えに来てもらうことにした。

「じゃあ、5分後くらいですね」

「はい。いつものところでお待ちください」

「わかりました」

電話を切ると、バイオリンケースとカバンを持って、いつもの待ち合わせ場所・・・正門の向かいに位置する、並木道の入り口に向かって行った。

夏休みだし、時間が中途半端だからか、正門の周囲に生徒はいない。

門に立つ守衛さんにはいつも通り挨拶をして、すぐ目の前に敷かれている横断歩道を渡っていった。


(ちょうどくらいかな)


待ち合わせ場所に到着し、腕時計を確認すると、時刻は16:34。

まもなく、馬場さんも到着するはず。

なんだけど・・・。


(遅いな・・・)


それから10分以上経過をしても、馬場さんは現れなかった。

馬場さんの性格ならば、5分と言ったら、その通りに来てくれるイメージだけど・・・。


(なにかあったのかな。・・・あ!もしかして電話が来ていたかもしれない)


バイオリンケースをそっと地面の上に置き、カバンの中のスマホを探す。

手に取って、電源を入れようとした瞬間に、コツコツと響く足音と、陰気な気配を肌で感じた。
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