black×cherry ☆番外編追加しました
見えない鎖に囚われたよう。

息苦しさまで感じてく。

「オレはね、本当に咲良のことが好きだったんだよ。咲良だけは特別だった。それは信じてほしいんだ」

「で、も・・・」

「本当だよ。咲良のことは愛してた。それは今も変わらない。もう、他の女なんていなくていい。咲良だけがいればいいんだ。だから咲良、これからはずっと、オレと二人で一緒に生きよう」

「!?」

悠翔さんの腕が、私の身体に伸びてきた。


(嫌・・・!)


ーーー逃げなければ。


そう思うのに、足が全く動かない。

でも、でもーーー・・・。

「やっ・・・!」

伸びてきた手を、震える腕でパシン、と弾いた。

はずみで、右手に握っていたスマホを地面にガシャンと落としてしまった。

「く・・・っ!」

悠翔さんの顔が歪んだ。

スマホも当たったかもしれない。

私は咄嗟に、「ごめんなさい!」と叫んだけれど。

「・・・こ、のっ・・・!なんだよ、その態度は・・・っ!」

憎しみと、怒りを纏った顔だった。


(怖い・・・!)


私は怖くてたまらなかった。

とにかくここから逃げないと。

そんな思いで、必死に足を踏み出したけど。

「きゃっ・・・!」

足がもつれて、その場に倒れ込んでしまった。

手のひらがじんわり痛み、さっきより、身体はがくがく震えてる。

起き上がる力もなくて、恐怖で戸惑う私の上に、薄暗い影が差しこんだ。

「・・・ああ・・・。大丈夫?」

その声に顔を上げると、悠翔さんが私を見下ろし微笑んでいる。

けれどそれは、優しさのある顔じゃない。

うすら笑いで、獲物を仕留めた獣のような顔だった。

「オレから逃げようなんてするからだよ。でも、許してあげるから。咲良はね、オレから一生逃げられないよ」
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