black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・!」

倒れ込んだ私の傍に、悠翔さんがしゃがみ込む。

そして動けない私の頬に、ニヤリと笑って手を伸ばす。

「咲良は本当にかわいいね。天使みたいだ」

「ち、ちが・・・!」

「天使だよ。オレの天使」

そう言って、親指を動かし私の唇の線をなぞっていった。


(・・・!)


ざらりとした感触だった。

恐怖と嫌悪で、鳥肌が立ち、全身の血の気が引いていく。


(やだ・・・!)


うすら笑いを浮かべた、悠翔さんの顔が近づく。

嫌な汗が背中を流れ、絶望感を感じた時のことだった。

「貴見ーっ!」

どこからか、聞き慣れた声がした。

その声に、悠翔さんははっとしたように肩をビクッと震わせた。

「てめえ・・・!咲良ちゃんから手え離せ!」

大声で叫ぶ声。
 
バタバタという足音がして、私はその方向へ目を向けた。


(あっ・・・!)


スーツ姿の岡本さんと、黒崎さんが駆けてくる。

なんで・・・、と驚き戸惑う間に、黒崎さんは、悠翔さんの服をつかんで私の傍から引き離す。

「・・・く・・・っ!は、離せ離せ・・・っ!」

「うるせえ」

ジタバタともがく悠翔さんを抑え込み、黒崎さんは素早く手錠をかけていた。
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