black×cherry ☆番外編追加しました
「わかりました。じゃあ、咲良ちゃん、もう大丈夫だからね」
「はい・・・」
岡本さんは、そう言って私に微笑みかけた後、立ち上がって黒崎さんから悠翔さんの身柄を引き継ぐ。
悠翔さんは、もう抵抗する気はないようで、おとなしく二人の指示に従っていた。
けれど。
「咲良・・・」
歩き出す直前に、私の名前を呟いた。
振り返った、すがるような大きな目。
私はまた、再び恐怖に縛られた。
「・・・っ、行くぞっ」
岡本さんは、厳しい声でそう言うと、悠翔さんを引きずるように歩き出す。
その、向かった先の道路には、黒い車と、いつか見た記憶のある刑事さんたちが立っていた。
(・・・悠翔さん・・・)
力なく歩く後ろ姿に、なぜか胸が痛んでしまった。
もう、彼を好きな気持ちはこれっぽっちも残っていない。
突然再び現れて、私に触れた感触は、恐怖と嫌悪でしかなかった。
だけどーーーーー。
過去に私が好きだった人。
かっこよくて、大好きで、本当に私は大好きで、この人のためならば、なんでもできると思っていた人。
その人が、今は私にすがるような目を向けた。
やせ細り、だらしのない身なりのままに、あの頃と同じように、私だけは特別なのだと、私を好きだと言ったこと。
「・・・うっ・・・」
なんの涙かわからなかった。
悲しいのか、辛いのか、感情の表現がどういうものかはわからない。
けれど、先ほどよりも溢れた涙が止まらずに、頬の上を何度も何度も落ちていく。
「はい・・・」
岡本さんは、そう言って私に微笑みかけた後、立ち上がって黒崎さんから悠翔さんの身柄を引き継ぐ。
悠翔さんは、もう抵抗する気はないようで、おとなしく二人の指示に従っていた。
けれど。
「咲良・・・」
歩き出す直前に、私の名前を呟いた。
振り返った、すがるような大きな目。
私はまた、再び恐怖に縛られた。
「・・・っ、行くぞっ」
岡本さんは、厳しい声でそう言うと、悠翔さんを引きずるように歩き出す。
その、向かった先の道路には、黒い車と、いつか見た記憶のある刑事さんたちが立っていた。
(・・・悠翔さん・・・)
力なく歩く後ろ姿に、なぜか胸が痛んでしまった。
もう、彼を好きな気持ちはこれっぽっちも残っていない。
突然再び現れて、私に触れた感触は、恐怖と嫌悪でしかなかった。
だけどーーーーー。
過去に私が好きだった人。
かっこよくて、大好きで、本当に私は大好きで、この人のためならば、なんでもできると思っていた人。
その人が、今は私にすがるような目を向けた。
やせ細り、だらしのない身なりのままに、あの頃と同じように、私だけは特別なのだと、私を好きだと言ったこと。
「・・・うっ・・・」
なんの涙かわからなかった。
悲しいのか、辛いのか、感情の表現がどういうものかはわからない。
けれど、先ほどよりも溢れた涙が止まらずに、頬の上を何度も何度も落ちていく。