black×cherry ☆番外編追加しました
会場の、お客様の入りは上々。

舞台の幕が上がった後は、プログラム通り、順調に曲が進んでいった。


(うん・・・手も、大丈夫)


触ると痛みがあったから、演奏中は心配だった。

けれど本番の高揚感か、痛みはなぜか落ち着いていた。


(よかった、本当に・・・)


大丈夫。落ち着いて。

だから今は、ただ、演奏だけに気持ちを向ける。

奏でる音と。

表現する自分の身体と。

客席と、ステージと。

今、この空間を。

それだけを考えて、私は、大学最後のコンサートの舞台に立った。










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