black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・困る?」

「はい・・・」

「事実を言っているだけで、嘘はついてないけどね。咲良ちゃんは、そう言われると困るんだ」

ハンドルを動かしながら、真っ直ぐに、先生は無表情で前を見つめる。

その眼差しは、どこか冷えたようだった。

「それは・・・あの人のことが好きだから?」

「えっ・・・」

「あの時会った刑事さん。どのくらい付き合ってるの?」

「!」

ドキリとした。

私の気持ちは、先生にもう気づかれていることだけど、後ろめたさは否めない。

「・・・お付き合いはしてないです。私がただ、好きなだけで」

「・・・・・・へえ」

私の答えに、早川先生が苛立った様子がわかった。

余計なことを言ってしまったかもしれない。

「・・・それでも、コンサートには来てくれたんだね」

考えるように呟くと、先生は、アクセルを踏みこんで車のスピードを加速した。

見慣れない道。

外の暗さも深くなり、二人きりの車内に急に不安が募っていく。

「どこが好きなの?僕より、あの人の方が勝ってるものってなんだろう」

「えっ・・・あの」

「かっこいいのはわかるけど。警察官でしょ?彼はいわゆるキャリアなの?」
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