black×cherry ☆番外編追加しました
(次は、パパの院長室だ・・・)


馬場さんに一度声をかけ、新棟の5階にある院長室へと向かって行った。

新棟は、細長い5階建ての建物で、一、二階は職員図書室、三、四階は事務系の部署、そして五階が院長室になっている。

中庭を挟み、本館から徒歩で数分離れた場所にある。

静かな場所。

仕事は集中しやすいだろうけど、一人ぼっちで寂しくないのか、パパがちょっと心配になる。


(職員の方も、用事がある時気軽に来にくい雰囲気だよね・・・)


辺りをキョロキョロ見渡すと、事務員さんや看護師さんが数人出入りをしているけれど。

本館に比べて訪れる人は少ないし、エレベーターに乗って5階の停止ボタンを押すのは、もちろん私だけだった。


(階数、間違えてると思われてるかな・・・)


一緒に乗り合った事務員さんは、私の顔をチラリと覗く。

院長室しかない5階ボタンを、どう見ても職員ではない私が押すのは、不思議に見えるだろうと思った。





エレベーターが五階に着いて、扉が開くと、すぐ目の前は休憩スペースになっていた。

大きな白いテーブルを、囲むように長椅子がL字型に置かれている。

その背景には、開放感のある大きな窓。

新鮮で、少し意外な光景だった。


(こんな風になってるんだ・・・)


病院の一部というより、美術館のロビーみたい。

ここで、外を見ながらパパは休憩しているのかな。

椅子が広くてのんびりできるし、お客さんが来たときは、ここで話をしたりするのかもしれない。
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