black×cherry ☆番外編追加しました
そんなことを思いながら、少しの間、窓の外をぼおっと見ていた。

すると、少し離れた場所でドアが閉まる音がした。

続いて聞こえる話し声。

そして足音。

声は、どこか聞き覚えがあるような気がして、窓から離れて廊下の方へ足を向けた。

すると。


(・・・!)


こちらに向かって、二人の男性が歩いてきていた。

その顔を見て、私は大きく目を開く。

「・・・っ、黒崎さん・・・!?」

その隣にいるのは岡本さん。

なんで、二人がこんなところに?

このフロアには、院長室しかないはずだ。

パパに会いに来ていたとしか思えないけど・・・。


(また、なにかあったの・・・?)


以前、大学内で二人に会ったことを思い出す。

あの時は、不審者が周辺をうろついているって話をしてて・・・その後、悠翔さんが現れたんだ。

またなにか、事件の気配があるのだろうか。

二人に会った驚きとともに、大きな恐怖に包まれた。

「さ、咲良ちゃん・・・!」

私に気づいた岡本さんも黒崎さんも、驚いているようだった。

そしてすぐ、バツの悪そうな顔をして、岡本さんが慌てて言葉を口にした。

「あ、と・・・お弁当、届けにきたんだよね?院長先生が、咲良ちゃんが後で来るって言ってたから」

「はい・・・あの、お二人は」

「仕事だよ」

間髪入れず、黒崎さんがピシャリと言った。

それ以上、なにも聞くなと言うように。

「あ・・・そうなんだ。でも、大したことじゃないんだよ。咲良ちゃんが気にするようなことじゃない」

黒崎さんの言い方がきつかったと思ったのか、岡本さんはフォローするように言葉を足した。
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