black×cherry ☆番外編追加しました
「おまえはもっと周り見ろ。おまえには、いい婚約者がいるんだろうが」
たしなめるような、厳しい口調。
鋭い目で睨まれて、涙がこぼれそうになってくる。
「誤解されたらオレも困るし。お嬢様の気まぐれで、オレのこと好きとか言うな」
「!」
(気まぐれって・・・)
もしかしたら、「好き」っていう気持ちさえ、真剣には伝わっていないのだろうか。
気まぐれなんかじゃ、決してないのに。
「私は、本当に」
「・・・マリッジブルーとかじゃないのか。一時の気の迷いだろ。
オレは、あの婚約者とは正反対のタイプだし、物珍しさで興味を持ったのかもしれない。でも、冷静になればすぐ冷める。おまえは、あの医者と結婚するのが正解だ」
「!」
ストレートな言葉じゃないけど、「諦めろ」と言われてしまったようだった。
完全に、これは失恋。
もう、少しの望みもないくらい。
「・・・じゃあな」
そう言うと、黒崎さんはくるりと私に背を向けて、エレベーター脇の階段を早い速度で下って行った。
耳に響く足音が、次第に遠くなっていく。
(『迷惑』ーーーー・・・)
ーーーもう、メールはできない。
そしてきっと、話もできない。
(本当に・・・振られてしまった・・・)
ぐるぐると、言われた言葉が頭の中を駆け巡る。
ぽっかりと空いた胸の中。
私はただ、その場にずっと立ち尽くすことしかできなかった。
たしなめるような、厳しい口調。
鋭い目で睨まれて、涙がこぼれそうになってくる。
「誤解されたらオレも困るし。お嬢様の気まぐれで、オレのこと好きとか言うな」
「!」
(気まぐれって・・・)
もしかしたら、「好き」っていう気持ちさえ、真剣には伝わっていないのだろうか。
気まぐれなんかじゃ、決してないのに。
「私は、本当に」
「・・・マリッジブルーとかじゃないのか。一時の気の迷いだろ。
オレは、あの婚約者とは正反対のタイプだし、物珍しさで興味を持ったのかもしれない。でも、冷静になればすぐ冷める。おまえは、あの医者と結婚するのが正解だ」
「!」
ストレートな言葉じゃないけど、「諦めろ」と言われてしまったようだった。
完全に、これは失恋。
もう、少しの望みもないくらい。
「・・・じゃあな」
そう言うと、黒崎さんはくるりと私に背を向けて、エレベーター脇の階段を早い速度で下って行った。
耳に響く足音が、次第に遠くなっていく。
(『迷惑』ーーーー・・・)
ーーーもう、メールはできない。
そしてきっと、話もできない。
(本当に・・・振られてしまった・・・)
ぐるぐると、言われた言葉が頭の中を駆け巡る。
ぽっかりと空いた胸の中。
私はただ、その場にずっと立ち尽くすことしかできなかった。