black×cherry ☆番外編追加しました
廊下にひとり立ちつくしたまま、どのくらい時間が経っただろうか。
一度、職員の方が院長室を訪れたため、私ははっとなって涙を拭くと、深呼吸をして気持ちを前に切り替えた。
職員の方が退室した後。
廊下の突き当たりにある、真っ白なドアをノックした。
中から「どうぞ」と声が聞こえてきたので、私はゆっくり木製のドアをガチャリと開けた。
「・・・パパ」
「おお、咲良。いらっしゃい」
机で事務作業をしていたパパが、笑顔で私を迎えてくれた。
入ってすぐ、右手にある応接セットを促され、ふかふかの茶色い革張りソファーに腰掛けた。
(パパは、いつもここで仕事をしてるんだ・・・)
院長室は、とても広い部屋だった。
入ってすぐ左には、仕事用の事務机や、本がびっしりと並んだ本棚。
右側は余裕のあるスペースで、今私が座っている大きな応接セットが置かれ、その奥は、ちょっとしたキッチンが設置されている。
廊下と同様、窓はとても大きくて、開放感があって気持ちのいい部屋だと思った。
「悪かったな、大学終わりにわざわざ来させて」
「ううん。院長室、来てみたいと思っていたから」
座ったままで待っていると、パパが紅茶を淹れてくれた。
どうやら茶葉からいれたようで、私は少し驚いた。
「パパ、意外とちゃんとしてるんだね・・・」
「意外とってなんだ。紅茶はこれが美味いんだ」
家ではママが家事の全てをしているし、パパはこういうことはなにもできないものだと思っていた。
職場では、秘書のような方がいて、仕事以外のことは全てしてもらっていると勝手に思っていたけれど。
(できることは、ちゃんと自分でしてるんだ)
当たり前かもしれないけれど、家のパパしか知らない私は、意外だったし、これだけでとても感心してしまう。
淹れてくれた紅茶もおいしい。
落ち込んで沈んだ気持ちが、少し温まるようだった。
一度、職員の方が院長室を訪れたため、私ははっとなって涙を拭くと、深呼吸をして気持ちを前に切り替えた。
職員の方が退室した後。
廊下の突き当たりにある、真っ白なドアをノックした。
中から「どうぞ」と声が聞こえてきたので、私はゆっくり木製のドアをガチャリと開けた。
「・・・パパ」
「おお、咲良。いらっしゃい」
机で事務作業をしていたパパが、笑顔で私を迎えてくれた。
入ってすぐ、右手にある応接セットを促され、ふかふかの茶色い革張りソファーに腰掛けた。
(パパは、いつもここで仕事をしてるんだ・・・)
院長室は、とても広い部屋だった。
入ってすぐ左には、仕事用の事務机や、本がびっしりと並んだ本棚。
右側は余裕のあるスペースで、今私が座っている大きな応接セットが置かれ、その奥は、ちょっとしたキッチンが設置されている。
廊下と同様、窓はとても大きくて、開放感があって気持ちのいい部屋だと思った。
「悪かったな、大学終わりにわざわざ来させて」
「ううん。院長室、来てみたいと思っていたから」
座ったままで待っていると、パパが紅茶を淹れてくれた。
どうやら茶葉からいれたようで、私は少し驚いた。
「パパ、意外とちゃんとしてるんだね・・・」
「意外とってなんだ。紅茶はこれが美味いんだ」
家ではママが家事の全てをしているし、パパはこういうことはなにもできないものだと思っていた。
職場では、秘書のような方がいて、仕事以外のことは全てしてもらっていると勝手に思っていたけれど。
(できることは、ちゃんと自分でしてるんだ)
当たり前かもしれないけれど、家のパパしか知らない私は、意外だったし、これだけでとても感心してしまう。
淹れてくれた紅茶もおいしい。
落ち込んで沈んだ気持ちが、少し温まるようだった。