black×cherry ☆番外編追加しました
「久しぶりだな、瀧乃屋の弁当。早川くんにも持って行ってくれたんだろう?」

一息ついて風呂敷包みを開けて見せると、パパはにこやかな顔で聞いてきた。

ドキリとする。

けれど、平静を装って頷いた。

「うん。パパの前に、渡してきたよ」

「そうか。喜んでいただろう。早川くん、咲良と会えるって楽しみにしてたから」

「・・・」


(喜んで、くれていたよね・・・)


食事にも誘われた。

そして黒崎さんにはフラれてしまった。

「お嬢様の気まぐれ」だって、気持ちさえも伝わらないまま。

悲しい気持ちを思い出し、沈んだ気持ちでうつむくと、パパは不思議そうな顔をして私の向かい側のソファに座った。

「ん?どうした?」

「あ、ううん・・・ただ、私はやっぱり、早川先生と結婚するのが運命なのかなって考えていて」

「はは、そうだろう。もう婚約しているようなものだし」

「・・・そうだよね・・・」

失恋は、人生で二度目のことだ。

悠翔さんだってお金が目当てだったようだし、私は、好きな人には好かれない、そんな運命なのかもしれない。

「・・・パパは、ママと恋愛結婚なんだよね?」

「なんだ急に。そうだけど」

パパが笑った。

「大好きで、結婚したの?」

「うん、そうだよ。大好きで、結婚した」
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