black×cherry ☆番外編追加しました
「いいんですか?」

「もちろん!ラーメンを女子大生に割り勘させるわけにはいかないからね」

笑顔で言われ、私と千穂ちゃんは「いただきます!」と元気な声で挨拶をした。

岡本さんも、それが嬉しそうだった。

「黒崎さんとは、食べながらどんな話をしたの?」

「えっと・・・そうですね・・・。その前に行った、ミカちゃん展の話とか・・・」

ラーメンを食べながら、黒崎さんの話をした。

振られてしまった相手のことでも、岡本さんに聞かれると、不思議と切ない感じはなかった。

「そっかあ。いやー、見たかったなあ。黒崎さんがミカちゃん展を見るところ。どんな顔で見てたかっていう」

「そうですね・・・普段とあまり変わらないです。ずっと不機嫌で、怒っているような」

「はは、そうなんだ。せっかく咲良ちゃんといるのにね。もったいないなあ」

変身体験のことは、あえて言わないことにした。

黒崎さんは内緒にしてほしそうな感じだったし、なんとなく、二人の秘密にしたいと思った。

話していると、店のドアが開いて夜の風がひやりと吹いた。

視界の片隅に入った客は、岡本さんの隣に座り、「濃厚ひとつ」と注文をした。


(・・・あれ・・・?)


聞き覚えのある低い声。

私は、千穂ちゃんと岡本さんの向こうに座った、そのお客さんに目を向けた。


(・・・!!)


岡本さんの顔の上、少しだけ見えた横顔は、まさに黒崎さんだった。

驚いた私は、思わず声を出してしまった。

「く、黒崎さん・・・!」

私の視線と声を受け、岡本さんはぐるりと身体を右に向けた。

そして隣を見た瞬間、「わあ!」と大きな声を出す。

「く、黒崎さん!こんばんは!!」

「・・・っ」
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