black×cherry ☆番外編追加しました
送り先は、私の家の最寄り駅でお願いをした。

家まで送ってもらったら、ここまでの経緯をママに話さないといけないし、ママがまた、黒崎さんに失礼な態度をとると思った。


(それに・・・私が好きな人だって、ママに気づかれる予感もするし・・・)


黒崎さんの車は二度目だ。

だけどそれは、以前の時とはやっぱり違う。

好きな人の助手席にいられるドキドキで、私の胸は落ち着かなかった。

「結局、婚約者とは来てないのか」

ハンドルを握りながら、黒崎さんがポツリと呟く。

一瞬、なんのことかと思ったけれど、すぐにさっきのお店のことだとわかった。

「はい。早川先生とは、二人で食事に行ったこともないので・・・」

「へえ・・・。いいとこの店とか、連れてくの好きそうだけどな。誘われないのか」

「そうですね・・・」

一緒に打ち上げには行ったけど。

返事をしてから、私ははっと気がついた。

「食事行こうって、連絡先をもらっていました・・・」

「なんだ、連絡してないのか」

「はい・・・」


(すっかり忘れてた・・・)


黒崎さんのことで、頭がいっぱいだったから。

早川先生に連絡先をもらったことは、すっかり忘れてしまっていた。

黒崎さんはふっと笑う。

「ひでえな」

「ひどいですよね・・・」

「まあ、オレもおまえの伯母さんにメールとかしてないし。人のこと言えないけどな」
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