black×cherry ☆番外編追加しました
(・・・)


もう、玉砕覚悟だった。

というより、玉砕しているからこそ、もう、聞いてしまうことにした。

「黒崎さん」

「なに?」

「もし・・・もしも私が、黒崎さんより年上で、綺麗で、佐和子おばさまみたいに賢くてしっかりとした女性だったら・・・私のこと、好きになってもらえましたか」

最後の綱のようだった。

けれど黒崎さんは「は?」と言って呆れ顔。

「なんだそれ。そんなの、ほとんどもうおまえじゃないだろ・・・」

「だ、だから、もしもです!もしも・・・」

「・・・」

必死の様子が伝わったのか。

黒崎さんは受け流さずに、しばらく考えてくれた。

けれど。

「・・・どうだろうな。好きじゃないかも」


(!)


「・・・そうですか・・・」


(そっか・・・)


なにがどうなろうとも、私は好きになってもらえない。

玉砕したと思っていたのに、心はさらに砕けてしまった。


この恋は、やっぱり実らない。


涙を流しそうになり、ごまかすように窓の外へと目を向けた。

秋の気配が濃くなって、辺りは暗くなっている。

それでも、遠くに見える街の灯りが、ここまで届いているようだった。











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