black×cherry ☆番外編追加しました
最寄り駅に着くと、黒崎さんはロータリーの端に車を止めた。

きっと、これで会うのは最後。

もう、さすがにあきらめなければ。

「今日は、本当にありがとうございました。突然のことで迷惑だったと思いますけど・・・私は、また黒崎さんと一緒にいられて、嬉しかったし、楽しかったです」

つらいけど。もう、会えなくなってしまうから。

最後はちゃんと自分の気持ちを言いたくて、私は素直に想いを伝えた。

そして「じゃあ・・・」と、ドアを開けて車を降りようとした、その時。

「・・・ちょっと」

突然右手をつかまれて、心臓が大きく跳ね上がる。

驚いて運転席を振り向くと、同じく、咄嗟に手が出たことに戸惑ったような黒崎さんが、はっとした顔で手を離す。

「・・・誤解してるみたいだから。一応言っておくけど」

「はい・・・?」

「さっき好きじゃないって言ったのは、別に、おまえのことが嫌いっていうわけじゃない。その・・・得意じゃないけど」


(得意じゃないけど・・・)


そんなこと、わざわざ言ってこなくても。

何を言いたいのかわからずに、私は複雑な気持ちになった。

「あの、大丈夫です、もう」

「いや、だから・・・年上ならとかこうなったらとか、別に、変わる必要ないだろう。おまえは、今のままでいい」
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