black×cherry ☆番外編追加しました
(・・・幸せだ)


早川先生のような素敵な人に、好きだと言ってもらえていて。

ご両親にも、好意を抱いてもらってる。

これは絶対に幸せで、私はやっぱり・・・これを受け取ることが幸せなのだと、自分に何度も言い聞かす。

「あら?・・・そういえば」
 
一通りの挨拶を済ませると、ママが思い出したように呟いた。

きょろきょろと、辺りを見渡しながら言う。

「うちの主人はまだなんですね。だいぶ前に病院を出るっていう連絡があったので、先に来ているものだとばかり」

「ええ・・・そうですね。まだお見かけしていませんが・・・」

二人の会話を聞いた私は、「電話してみる」とパパに電話をかけてみた。

プルルル・・・と鳴る電子音を耳に当てて待っていると、エントランスから、バタバタと走る足音が。

「すみません、遅くなって」

「パパ」

スーツ姿のパパは、とても急いで来たようで、スーツは着崩れ、髪の毛はやや乱れていた。

取り出したハンカチで、汗を拭いながら言う。

「ちょっと、出る直前に電話があってね。すみません、お待たせしまして。早川くんも、悪かったな」

「いや、全然。ほぼ時間通りですよ。大丈夫ですか、先生こそ」

「大丈夫大丈夫、晴れの日に遅刻するわけにはいかんと思ってね。急いで来たんだ」


(晴れの日・・・)


パパの言葉に、私はまた胸が痛んだ。

おめでたい日だということを、何度も認識させられる。

笑顔の早川先生と、優しく迎えてくれる先生のご両親。

そして、パパとママも、おばあさまもおじいさまも、とても喜んでくれている。


(・・・心を決めよう)


深呼吸をして、私は、自分の運命を受け入れることにした。


 






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