black×cherry ☆番外編追加しました
「ちょっと、すみません」
その時突然、私と先生のすぐ正面・・・会話を交わす両親たちの目の前に、スーツの男性が現れた。
いつの間にいたのだろうか。私だって近くにいるのに、全く気配を感じなかった。
40代半ばぐらい、中肉中背。少し陰気な感じがしたけれど、それ以外の特徴はなく、行き交う他のホテル客となんら相違はない印象。
けれど・・・なんだろう。
なんとなく、嫌な予感が脳裏をかすめた。
「羽鳥和馬先生ですよね?羽白総合病院の。今は、院長を務めてらっしゃる」
「・・・そうですが・・・」
「ずいぶんと、楽しそうですね」
男性は、無表情でそう言った。
世間話・・・?
けれど、明らかに様子がおかしい。
「・・・もしかして、あなた・・・」
「ええ。今朝、院長のあなたに電話を切られた男です。『大事な用事がある』とか言って」
そこまで言うと、突然、男性は怒りに満ちた表情で、大きく目を見開いた。
そして、胸元から光るナイフを取り出すと、その刃先を自分の喉元の位置に向けた。
(・・・!)
「きゃ、きゃああっ・・・!」
ママと先生のお母様が、震えるように悲鳴を上げた。
首元と、刃先の距離は1センチもない。
突然のことに、私は声も出せずに大きく息をのみこんだ。
「な、何を・・・」
「かつて天才外科医と言われた羽鳥先生。そんなあなたの目の前で、人が死んだらどうですか。しかもあなたへの恨みを語って死んでいく。天才なんて嘘だって、叫びながら死んでやる・・・っ!」
そう叫んだ男性は、刃先を自分に向けたまま、勢いをつけるように両腕をめいっぱい上に伸ばした。
その時突然、私と先生のすぐ正面・・・会話を交わす両親たちの目の前に、スーツの男性が現れた。
いつの間にいたのだろうか。私だって近くにいるのに、全く気配を感じなかった。
40代半ばぐらい、中肉中背。少し陰気な感じがしたけれど、それ以外の特徴はなく、行き交う他のホテル客となんら相違はない印象。
けれど・・・なんだろう。
なんとなく、嫌な予感が脳裏をかすめた。
「羽鳥和馬先生ですよね?羽白総合病院の。今は、院長を務めてらっしゃる」
「・・・そうですが・・・」
「ずいぶんと、楽しそうですね」
男性は、無表情でそう言った。
世間話・・・?
けれど、明らかに様子がおかしい。
「・・・もしかして、あなた・・・」
「ええ。今朝、院長のあなたに電話を切られた男です。『大事な用事がある』とか言って」
そこまで言うと、突然、男性は怒りに満ちた表情で、大きく目を見開いた。
そして、胸元から光るナイフを取り出すと、その刃先を自分の喉元の位置に向けた。
(・・・!)
「きゃ、きゃああっ・・・!」
ママと先生のお母様が、震えるように悲鳴を上げた。
首元と、刃先の距離は1センチもない。
突然のことに、私は声も出せずに大きく息をのみこんだ。
「な、何を・・・」
「かつて天才外科医と言われた羽鳥先生。そんなあなたの目の前で、人が死んだらどうですか。しかもあなたへの恨みを語って死んでいく。天才なんて嘘だって、叫びながら死んでやる・・・っ!」
そう叫んだ男性は、刃先を自分に向けたまま、勢いをつけるように両腕をめいっぱい上に伸ばした。