black×cherry ☆番外編追加しました
岡本さんは穏やかな声でそう言って、安心させようとしてくれた。

けれど「手術」という言葉から、やはり不安は強くなる。

「傷は、深いんでしょうか」

「・・・どうかな。浅くはないんだろうけど・・・大丈夫だよ、黒崎さんは。今は手術がうまくいくって信じて、それを願って待っていよう」

「・・・はい・・・」

返事をしたけど、私は泣き出しそうだった。

黒崎さんが、死んでしまったらどうしよう。

腕が動かなくなってしまったらどうしよう。

あの時、私が飛び出して、黒崎さんは私のことを抱きしめた。

私のせいで、腕に負担をかけてしまった。


(黒崎さん・・・)


不安で不安で仕方ない。

悪い想像ばかりが頭の中を駆け巡る。

怖い。どうしよう。

泣いても仕方ないけれど、溢れる涙は止まらない。

「う、ううっ・・・」

「咲良ちゃん・・・」

岡本さんの、心配そうな声がした。

言われた通り、きっと今は信じる気持ちが大切なのに、不安で涙が止まらなかった。

「・・・咲良」

その時、ママが私の右手に優しく触れた。

はっとなって顔を上げると、ママは両手で私の右手を包み込む。

「あの人が、咲良の好きな人なのね」

ママに問われて、嗚咽の合間に私はなんとか頷いた。
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