black×cherry ☆番外編追加しました
それが、私の・・・娘の幸せだって思った。
それに、早川先生は素敵で優しく、私も絶対好きになるって、ママはそれを疑わなかった。
「でも、咲良のため咲良のためって・・・全然、咲良のためじゃなかったね。全部ママのためだった。咲良が早川先生と結婚すれば、ママが何より安心だったの」
病院長の娘が、優秀な外科医と結婚すること。
相手のご両親に、好意的に受け入れてもらっていること。
おばあさまに、認めてもらえる相手であることーーー・・・。
もちろん私の・・・娘の幸せを願っていた。
けれどなにより、それは、ママ自身が安心できることだった。
「だけどね、咲良が犯人の前に飛び出した時、本当に目の前が真っ暗になってしまったの。咲良が死んだらどうしよう、そうしたら、もう、ママはどうしたらいいかって・・・」
ママの瞳に涙が浮かぶ。
そしてまばたきをした瞬間に、頬に涙が落ちていく。
「それでやっと気づいてね。咲良が、元気で幸せである以上に望むことってなんだろうって。
・・・そしたらね、それ以上のことってなんにもないの。咲良が元気で幸せでいてくれたら、それ以上のことってなんにもないの・・・」
病院の跡取りだとか。
おばあさまに非難されるとか。
そんなことは、もう、どうでもいいと思ってしまった。
娘が元気で、幸せならばそれでいい。
もしも死んでしまったら、もう、どんな願いも叶わなくなってしまうのだからーーー・・・。
「咲良の気持ちが、あの時初めて、やっとわかった気がしたの。咲良は本当に、黒崎さんが好きなのね」
「うん・・・」
「・・・おばあさまにも私が言うわ。反対されても、何度も何度も説得するから。だから咲良は、好きな人と一緒になって。
咲良には、ずっと笑っていてほしい。それがママにとっても幸せだって、ママもそれに気づいたの」
薄暗く曇った空が、ゆっくりと晴れ渡っていくようだった。
私の心だけじゃない。
ママの笑顔も。
柔らかな、優しい光が差し込んだ。
見えない鎖が解けていく。
そして、小さな籠から鳥が放たれていくような、そんな、青い空を思った。
それに、早川先生は素敵で優しく、私も絶対好きになるって、ママはそれを疑わなかった。
「でも、咲良のため咲良のためって・・・全然、咲良のためじゃなかったね。全部ママのためだった。咲良が早川先生と結婚すれば、ママが何より安心だったの」
病院長の娘が、優秀な外科医と結婚すること。
相手のご両親に、好意的に受け入れてもらっていること。
おばあさまに、認めてもらえる相手であることーーー・・・。
もちろん私の・・・娘の幸せを願っていた。
けれどなにより、それは、ママ自身が安心できることだった。
「だけどね、咲良が犯人の前に飛び出した時、本当に目の前が真っ暗になってしまったの。咲良が死んだらどうしよう、そうしたら、もう、ママはどうしたらいいかって・・・」
ママの瞳に涙が浮かぶ。
そしてまばたきをした瞬間に、頬に涙が落ちていく。
「それでやっと気づいてね。咲良が、元気で幸せである以上に望むことってなんだろうって。
・・・そしたらね、それ以上のことってなんにもないの。咲良が元気で幸せでいてくれたら、それ以上のことってなんにもないの・・・」
病院の跡取りだとか。
おばあさまに非難されるとか。
そんなことは、もう、どうでもいいと思ってしまった。
娘が元気で、幸せならばそれでいい。
もしも死んでしまったら、もう、どんな願いも叶わなくなってしまうのだからーーー・・・。
「咲良の気持ちが、あの時初めて、やっとわかった気がしたの。咲良は本当に、黒崎さんが好きなのね」
「うん・・・」
「・・・おばあさまにも私が言うわ。反対されても、何度も何度も説得するから。だから咲良は、好きな人と一緒になって。
咲良には、ずっと笑っていてほしい。それがママにとっても幸せだって、ママもそれに気づいたの」
薄暗く曇った空が、ゆっくりと晴れ渡っていくようだった。
私の心だけじゃない。
ママの笑顔も。
柔らかな、優しい光が差し込んだ。
見えない鎖が解けていく。
そして、小さな籠から鳥が放たれていくような、そんな、青い空を思った。