black×cherry ☆番外編追加しました
守りたいって思っていたのに、逆に私が守ってもらった。

それに、私があの場所で黒崎さんを「大切」なんて言ったから、そのことでも迷惑をかけてしまった気がした。


(おじさまも知っていたし・・・私の片想いなのに、みんなから何か言われたかもしれないよね・・・)


「ほんとに・・・二度とすんな。あんなこと」

「はい・・・すみません・・・」

「けど、こっちは仕事だ。おまえが謝らなくていい」

「・・・でも」

「そっちこそ大丈夫なのか。あんなこと言って・・・婚約者に、何か誤解されたんじゃないのか」


(誤解・・・)


一度は、黒崎さんをあきらめて、早川先生と婚約をした。

それなのにまた「大切」なんて言葉にしたから・・・黒崎さんを混乱させただろうと思う。

「・・・婚約は、保留にしていただいたんです」

「は・・・?保留?」

「はい。早川先生とはまだ話をしていないんですけど・・・。母がご両親と話してくれて。とりあえず、婚約は保留にしていただいたんです。

また今度話し合いをするそうなんですけど、母は、私の気持ちを大事にするって・・・。だから婚約は、白紙に戻してもらう予定です」

「・・・っ」

黒崎さんは、とても驚いたようだった。

そして、悩むように視線を落とし、静かな声で呟いた。

「・・・おまえは、本当にそれでいいのか」

「はい」

「二度と現れねえぞあんなヤツ」

「い、いいんです!だって、私は・・・」


(私はーーーーー・・・)


黒崎さんが、好きだから。

言いそうになったところで、私ははっとなって口をつぐんだ。
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