black×cherry ☆番外編追加しました
(それを言ってどうするの・・・)


もちろん、黒崎さんは私の気持ちをわかっていると思うけど。

「黒崎さんが好きだから」って、ここで言ってしまったらーーー・・・。

黒崎さんが理由で婚約を白紙に戻してもらうだなんて、本人にしたら、重荷以外の何物でもない。


(だって、私の一方的な片思い・・・)


両想いであるならまだしも・・・私だけの感情で、気持ちを押し付けるようなもの。

そんなこと、私も望んでいなかった。

「あ、あの・・・とにかく!私は、結婚相手は自分で見つけたいって思ったんです。だから・・・それで、白紙に戻してもらうんです」

取り繕うように、必死で婚約破棄の理由を告げた。

そして、「じゃあ!」とそのまま帰ろうと、立ち上がろうとした時だった。

「・・・ちょっと」

いつかのように、突然腕をつかまれた。

引き止められる感覚に、大きく胸が跳ね上がる。

「・・・見つけるって、どういう意味だ」

「えっ・・・」

「見つけるって、おまえは・・・オレのことが好きなんだろ?」

「!」

少しの思考も、できる時間なんて全くなかった。

黒崎さんは、そのまま腕を引き寄せて、戸惑う私にキスをした。


(---ーー・・・っ!)


心臓が、飛び出すレベルのものじゃない。

弾けそうで、壊れそうで、例えようもないくらい、私の胸は大きく音を出していた。


(・・・なんで・・・)


どうしたらいいのかわからない。

どういうことかもわからない。

ただ、ただただ戸惑って、身体が熱くなっていく。
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