black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・」
またも火花を散らし合う。
そこで、様子を見かねたおばさまが、「まあまあ」と苦笑しながら口を挟んだ。
「昭一さん、そんな勝手に決めない決めない。それに今どき、小学生でも手ぐらいつなぐと思いますよ」
「そ、そうですよね・・・。もう大人ですし・・・。ある程度は本人たちに任せても・・・ねえ、パパ」
ママがパパに問いかけた。
するとそれまで、この話題ではずっと無言でいたパパが、少し悩んで「うん」と頷く。
「そうだな・・・。あまり厳しくして下手に反動があるといけないし。けどまあ、黒崎くんは大人でも、咲良はまだ学生だからな。まあ、いわゆる・・・清く正しい男女交際をお願いします」
「は・・・」
(清く正しい・・・)
逆に、解釈がちょっと難しかった。
黒崎さんも、同じく少し戸惑っていて、察したパパは「ははは」と笑った。
「黒崎くんの思う範囲でいいですよ。付き合うことには賛成してるし、結婚前提だということももちろん理解しているからね。
ただ、とにかく、咲良を大切にしてほしい。望むのは、ただそれだけなんだ」
穏やかに、けれど、強い眼差しでパパは言う。
黒崎さんは、それに応えるように「はい」とはっきり頷いた。
「大切にします」
「うん。咲良を、よろしくお願いします」
どこか、凛とした空気が流れた。
私も、ママも。
おばさまも、そしておじさまも。
パパと黒崎さんとの約束を、みんなで静かに見守った。
ふいに、金木犀の香りが鼻をかすめた。
秋風が、庭の木々を揺らしてる。
甘い香りと、その記憶。
私は、今日のことを忘れないよう、庭先で揺れるオレンジの花を、しっかりと目に焼き付けた。
またも火花を散らし合う。
そこで、様子を見かねたおばさまが、「まあまあ」と苦笑しながら口を挟んだ。
「昭一さん、そんな勝手に決めない決めない。それに今どき、小学生でも手ぐらいつなぐと思いますよ」
「そ、そうですよね・・・。もう大人ですし・・・。ある程度は本人たちに任せても・・・ねえ、パパ」
ママがパパに問いかけた。
するとそれまで、この話題ではずっと無言でいたパパが、少し悩んで「うん」と頷く。
「そうだな・・・。あまり厳しくして下手に反動があるといけないし。けどまあ、黒崎くんは大人でも、咲良はまだ学生だからな。まあ、いわゆる・・・清く正しい男女交際をお願いします」
「は・・・」
(清く正しい・・・)
逆に、解釈がちょっと難しかった。
黒崎さんも、同じく少し戸惑っていて、察したパパは「ははは」と笑った。
「黒崎くんの思う範囲でいいですよ。付き合うことには賛成してるし、結婚前提だということももちろん理解しているからね。
ただ、とにかく、咲良を大切にしてほしい。望むのは、ただそれだけなんだ」
穏やかに、けれど、強い眼差しでパパは言う。
黒崎さんは、それに応えるように「はい」とはっきり頷いた。
「大切にします」
「うん。咲良を、よろしくお願いします」
どこか、凛とした空気が流れた。
私も、ママも。
おばさまも、そしておじさまも。
パパと黒崎さんとの約束を、みんなで静かに見守った。
ふいに、金木犀の香りが鼻をかすめた。
秋風が、庭の木々を揺らしてる。
甘い香りと、その記憶。
私は、今日のことを忘れないよう、庭先で揺れるオレンジの花を、しっかりと目に焼き付けた。