black×cherry ☆番外編追加しました
そう言うと、署長はそそくさとその場を立ち去った。

なんか、逆に清々しいな・・・。

「すみません、ありがとうございます」

一連の流れに驚きながら、市谷さんに礼を言う。

ありがたいけど、市谷さんは問題ないのか。

「奥さん、大丈夫なんですか」

「ああ。昨日から、彼女の母親とお義姉さんが来てくれてるから」

「・・・そうですか」

市谷さんの奥さんは妊娠中。

何か月とかは知らないが、つわりがひどいと岡本経由で聞いている。

けど、母親と姉がいるのなら、不安はまあないだろう。

「おまえこそ。婚約したんだろ?その・・・羽鳥さんと」

「・・・っ」

市谷さんと、こういう話題をしたことはない。

驚きとともに、気恥ずかしいような思いになった。

「・・・まあ、はい」

「本部長の溺愛ぶりはすごいしな。婚約なんて、おもしろくないんだろうけど」

「そうですね」

「けど、おまえが仕事ばかりじゃ寂しい思いをしてるだろ。せっかくだから、明日はどっか連れて行ってやったらどうだ」

「は・・・」


(・・・マジか・・・)


市谷さんから、こういうことを言われるとは思わなかった。

この人は、結婚してから本当に人間変わった気がする。

昔は、こんなこと言う人じゃなかったんだが。

「日曜も普通に休んでいいから。なんか言われたら、オレが受けとく」

「はい・・・ありがとうございます」

子どもが生まれたら、市谷さんの休出は代わりに出るか。

そんなことを考えて、オレは咲良に電話をかけた。















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