black×cherry ☆番外編追加しました
「申し訳ありませんでした。ご迷惑をおかけして・・・」

「いえ。車ですよね。そこまで運びます」

「えっ!?いいんですか」

「歩けないみたいだし。東駐車場ですか?」

「は、はい」

「わかりました」と頷くと、黒崎さんは早くもさっさと歩き出す。

佐和子おばさまは「すみません!」と言いながら、急いで後を追ってきた。


(もう、申し訳ないやら怖いやら恥ずかしいやら・・・どうしていいいかわからないよ・・・)


黒崎さんのことは怖い。

抱きかかえられて恥ずかしい。

それにきっと重いから、申し訳なくてたまらない。

下ろしてほしい。けれどきっと歩けない。

傷む足はどうにもできずに、身をゆだねるしかできなくて。

私は駐車場に着くまでずっと、黒崎さんの腕の中、頭の中を回る思考と戦い続けていたのだった。










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