black×cherry ☆番外編追加しました
駐車場に着くと、黒崎さんは、おばさまの車の後部座席に私を下ろした。

私の足を庇うため、大きな体をあちこちにぶつけて、かなり不機嫌になりながら。

「・・・あの、すみません。ありがとうございました・・・」

「ああ」

素っ気なく頷くと、黒崎さんは後部座席のドアを閉めた。

持ってくれていたサンダルは、いつの間にか、足元に揃えて置かれていた。


(・・・なんだか、すごいお世話になってしまった・・・)


怖かったし恥ずかしいしでどうしようもなかったけれど、お世話になったのは確かな事実で、私は、なんともいえない放心状態。

車の外では、おばさまが立ち去ろうとする黒崎さんを呼び止めて、何度も頭を下げている。

そして黒崎さんが見えなくなるまで、後ろ姿を見送っていた。

「ごめんね、お待たせ。大丈夫?楽な格好してていいからね」

どこかに電話をかけた後、車に戻ってきたおばさまは、後部座席の私を気遣う。

「今友達にも電話しといたから。また足治ったらいつでも来てって言ってたからね。治ったらまた来よう」

「はい。すみません・・・」
 
それから、佐和子おばさまはパパにも電話をかけてくれ、休日診療に予約を入れてくれた。

「けがしたとか言うとまたうるさいから」と、おばあさまには内緒にしてもらう約束で。

「・・・それにしても。さっきの方、すごいお世話になったわね。お礼したかったなあ」

車を発進させた佐和子おばさまは、ハンドルを動かしながらぼそっと呟く。

私はドキッとしてしまう。
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