black×cherry ☆番外編追加しました

「あー・・・えっとね、咲良ちゃんがチカンにあったことがあって。・・・電車でね、すぐに犯人はつかまえたんだけど。それでちょっと、いろいろね」

美優ちゃんたちの質問に、岡本さんが誤魔化しながら答えてくれた。

守秘義務があるのだろう、他の男性陣も「そうそう」と話を合わせてくれていた。

「・・・」

ーーーー数か月前に、私が関わってしまった事件のこと。

あのことは・・・ここでは、警察官である男性陣と、私と千穂ちゃんしか知らないことだ。

岡本さんたちは誤魔化してくれているし、今更言う必要もないけれど、嘘をついているのは確かなことで、胸の奥がチクリと痛んだ。

「えー」

男性陣の説明に、華英ちゃんが顔をしかめた。

「チカン」というフレーズに、嫌な感じがしたようだ。

「普段あんま乗らないのにねー。たまたま乗ったとき？咲良はかわいいからなあ。しかもおとなしそうだもん。狙われやすいんだよ」

「ねー、気をつけなよ」

「ほんとほんと」

「うん・・・。ありがとう」

華英ちゃんたちの気遣いに、小さく笑って頷いた。

千穂ちゃんは、心配そうな顔をして、けれど大丈夫だと言うように、私に頷きかけてくれた。