black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・こうすると痛む?」

「はい・・・」

「これは?」

「少し・・・」

慎重に動かしながら、先生は私の足を診ていった。

そしてレントゲン撮影もして一通りを診終えると、優しい顔で微笑んだ。

「大丈夫。ひねったみたいだけど腫れてはないし。テーピングしておくから、数日間安静にしていれば大丈夫だと思うよ」

「そうですか・・・。良かった」

診察の結果を受けて、佐和子おばさまがほっとした声を出す。

早川先生はにこっと笑った。

「あ・・・申し遅れました。私、咲良の伯母の羽鳥佐和子と申します」

「羽鳥・・・。ああ、それでは、羽鳥院長の妹さんですか。先生には、いつもお世話になっております」

頭を下げた先生に、佐和子おばさまは「あら!」と嬉しそうな声を出す。

「妹じゃなくて。私は和馬の姉なんですよ」

「えっ!?わ・・・そうですか。ずいぶんとお若くてお綺麗なので妹さんかと」

「まあ!もー、先生ったら御上手ですこと」

佐和子おばさまは、とても嬉しそうだった。

そして先生はお世辞で言ったわけじゃなく、素直な気持ちだろうと思った。



それから、早川先生は膝と手の傷の手当てもしてくれた。

そして「これでよし」と笑顔で言った。

「ありがとうございました。すみませんでした、本当に・・・」

「いや。気にしないで。本当に、ちょうど患者さんもいなかったから」

「はい・・・」

「いいんだよ、本当に。キミはわがままを言っていい。羽鳥先生の娘さんって理由ももちろんあるけど。咲良ちゃんのわがままだったら、僕はなんでも聞くからね。キミは、僕の大切な婚約者なんだから」

「!」

早川先生は、私の頭に手をのせた。
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