black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・でも」

「大丈夫。咲良ちゃんは、必ず僕を好きになる。知れば必ず好きになるから」

「・・・!」


(い、言い切った・・・)


早川先生の眼差しは、甘くて、とても自信に満ちていた。

ドキリと胸の奥が鳴る。

本当にそうなると、未来が決まった感覚だった。


(本当に・・・?本当に、私は早川先生を好きになって結婚するの・・・?)


読めない未来を考える。

隣では、佐和子おばさまが「いいじゃない!」と、興奮気味に私の腕をぺシぺシたたく。

「咲良、大丈夫だよ!これは絶対好きになるって〜」

「・・・」

一生を、共にするかもしれない人。

優しくて、かっこよくて、お医者さんで、家族もみんな気に入っていて・・・。


(私には、もったいないくらい『理想の結婚相手』だと思う。それはもちろん、わかっているけど・・・)


何かが違う。

敷かれたレールの上で出会った、理想の相手が運命の人?


(でもそれは・・・)


それは違うと、胸の奥で何かが告げる。

型にはまった理想じゃなくて。

気づいたら恋に落ちていて、大好きだって思いが溢れて、一緒になれたら幸せなのに・・・。


(早川先生をそう思えたら、それこそ理想だろうけど・・・)


好きな人と一緒に生きたい。

ただ、純粋に恋したい。

私は、そのスタート地点にも立つことができないのだろうか。





  



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