black×cherry ☆番外編追加しました
まさかまた、あんな場所で再会するとは。

足を痛めた羽鳥咲良を車まで運び終えた後、釣り場に戻る道中で、オレは先ほどのことを思い返した。





休日の今日は、早朝から馴染みの場所に釣りに来ていた。

けれど不調。

雑魚だけは数匹かかり、なんとなく、その中の一匹をバケツの中で泳がせていた。


(・・・早めに帰るか)


気分が乗らず、切り上げようかと思っていた時、刑事課の上司である市谷さんから電話があった。

「はい」

「休日に悪い。昨日の件だけど。・・・ー・・・ー・・・」

「・・・すいません、もう一度いいですか」

「昨日の・・・ー・・・ー・・・ー」

「・・・」

やけに電波が悪かった。

持っていた釣竿を置き、場所を移動することにした。





市谷さんからの電話は、確認事だけで出勤の必要はないものだった。

ほっとする。

日常茶飯事、とまではいかないが、緊急招集はたびたびあること。

確かに、帰ろうかと考えていたところだが、釣りの途中で呼び出されるのは面倒だ。



電話を終えて釣り場に戻ると、明らかに場違いな女がオレのバケツの中を覗いてる。

水色と白の、ストライプ柄のシャツワンピース。同じ布のデカいリボンを腰の位置で結んでいる。

釣りに来たとは思えない。

足もとは、今にも折れそうなサンダル履いてるし。


(・・・なんだ、あの女)
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