black×cherry ☆番外編追加しました
羽鳥咲良の伯母の女性は、華やかな印象の美人だった。

近くで見ると、想像よりもずいぶん若い。

こいつは確か大学生だ。

「伯母」という存在ならば、40~50代かと思っていたが。


(30前後・・・?オレと同じくらいか?)


声は落ち着いているし、しっかりとした雰囲気だけど。

「・・・」

どうでもいいか。

余計なことを推測しそうになったけど、めんどくさくなったのでやめた。



とりあえず、羽鳥咲良を車まで無事に運び終え、オレはようやくほっとした。

そのまますぐに帰ろうとしたが、伯母の女性に呼び止められた。

「本当に、どうもありがとうございました。私一人ではどうにもできませんでしたから・・・。本当に、ありがとうございました」

「・・・いえ」

深々と礼をされ、少し恐縮。

さっさと運びたかっただけだし。

「あっ・・・!シャツも汚れてしまっていますね」

「え?」

指摘され、シャツを見るとところどころに赤いシミがついていた。

そういえば、あいつは膝を怪我していたか。


(その血か・・・)


「申し訳ありません・・・。今度改めてお詫びをさせていただきたいです。もしよかったら、連絡先を教えていただけませんか」

伯母が言う。

別に、かっこつけるわけじゃなく、こういう好意を受け入れるのがめんどくさくて断った。
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