black×cherry ☆番外編追加しました
「それはお断りしました。大したことはしてないし」

「いやいや。大したことだぞ。偶然出くわしただけなのに、結構な距離を運んでくれたと聞いている。

まあ・・・咲良に触った点については、今回だけは目をつぶっておいてやる」


(・・・なんだそれ・・・)


「触った」って、単に運んでやっただけだろ。

それにあんな子どもの女、触ったところで細いぐらいしか思わない。

「とにかくな。二人は礼をしないと気がすまないと言っている。本当に感謝してるんだ。

咲良はな、来週、バイオリンのコンサートも控えていてな。おまえがいなかったら、ステージに立つのも無理だったかもしれないと言っている。だからおまえには、本当に感謝してるんだ」

「・・・はあ」

「オレからも、感謝の気持ちを伝えたい。美味い高級フレンチに連れて行ってやるからな。今週の土日、どっちか休みじゃないか?」


(・・・は?高級フレンチ?)


飲み屋とか料亭とかならわかるけど。オレの礼に高級フレンチ?

なんだかめんどくさそうで、ますます行きたくなくなった。

「ほんとに。気にしないでいいですから」

「いや、気にするんだよ。おまえが来ないと話にならん。咲良と佐和子さんと、オレとおまえの四人で食事をしたいと咲良に言われているからな。礼なのに、おまえが来なきゃ意味がないだろ」

「・・・」

そうか。高級フレンチというのは、羽鳥咲良が好きなのだ。

絶対行かねえ。
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